カンボジア-森林減少と森林伐採の歴史-

こんにちは!今回は、カンボジアの森林伐採の歴史について、2019年9月に発売された『カンボジア研究 その自然・文化・社会・政治・経済』(藁谷 哲也)の第6章「森林資源とその変化」を参考に記事を書きたいと思います。

http://www.bunshin-do.co.jp/catalogue/book5044_NS01.html

カンボジアでも森林減少は進んでいる

世界中で森林減少が進む中、カンボジアも例外ではありません。

『カンボジア研究 その自然・文化・社会・政治・経済』第6章を参考に作成

この数値はOpen development Cambodia (odc)の衛生データを基に計測されたものです。全体として減少傾向であり、また、2009年以降急激な森林減少が確認できるかと思います。

森林減少が深刻に進んだ主な地域はカンボジアの北東部や中部、西部のあたりです。中部は人口が多いため、西部はタイとの国境に近く、輸出に適していたためとされています(2011:繁山他)。これらの地域では、過去には広く密林が広がっていましたが、現在は森林面積がかなり縮小しています。『カンボジア研究 その自然・文化・社会・政治・経済』の図では視覚的にこれらの地域の森林が減少していることが分かります。興味のある方は、ぜひ書籍を手に取ってみてください。

森林減少とは?

実はこの記事のタイトルにもなっている「森林伐採」は森林減少の一要因でしかありません。森林伐採と並んで森林減少を引き起こしている大きな要因が「森林火災」です。

森林火災(山火事)

森林火災と聞いて2019年のアマゾン大火災のニュースを思い出す人も多いのではないでしょうか?

https://news.yahoo.co.jp/byline/shivarei/20190827-00139985/

「地球の肺」と言われるほど大規模な森林であるアマゾンが燃えているという衝撃的なニュースです。

世界的な自然保護団体「WWF(世界自然保護基金)」も、「670万平方キロの熱帯雨林」「17~20%の水資源」「世界の生物多様性の10%」「20%の世界の酸素」「3400万人以上の生活」がアマゾン火災によって失われているとツイッターで警鐘を鳴らした。

なぜ「地球の酸素20%供給」のアマゾン熱帯林が焼き尽くされているのか-日本もアマゾン破壊に関与(https://news.yahoo.co.jp/byline/shivarei/20190827-00139985/)

森林減少は直接的な人間の手によるものだけでなく、自然発火による森林火災も存在することには留意しておく必要があります。実は日本でも小規模な森林火災(自然発火)は多発しています。

カンボジアの森林伐採の歴史

話が逸れましたが、ここでカンボジアの森林減少について立ち戻りたいと思います。改めてグラフで確認していきましょう。
このグラフから分かることは、1973年時には13.1万㎢の森林面積(国土の約72%)があったにもかかわらず、2014年時には8.7万㎢まで森林減少が進んでいるということです。8.7万㎢は国土に対して約48%です。

『カンボジア研究 その自然・文化・社会・政治・経済』第6章を参考に作成

カンボジアの森林減少の歴史はポル・ポト政権崩壊後の1980年代まで遡ります。ポル・ポト政権崩壊以降、合法違法問わず森林伐採が急速に増加したためです。当時、カンボジアでは森林保護に関する基本的な法律である森林法がなかったため、急激に森林伐採が進んだとされています(2011:繁山他)。主に伐採された木は常用樹のラワン、マホガニー、落葉樹のチークなどです。

実際、コストの問題から種類を問わず伐採されることがほとんどです。森に入り、一つ一つ有用財かどうかを確認するのは骨が折れますからね・・・それならすべて切って後から確認する方が簡単だということです。それでは森林伐採に対する年代ごとの政府の対応を確認しましょう。

切り出された丸太

過剰な森林伐採を防ぐべく、カンボジア政府は1994年に森林伐採権を発表します。これは国に対し伐採税を納めれば、対象範囲での合法的な森林伐採を認め、また販売、輸出を可能にするというものです。実はこの対象範囲というのはかなり広く、カンボジア国土の2/3にあたる約7万㎢にもわたる森林が対象となりました。違法伐採の削減に大きな期待をされたこの政策でしたが、当初の期待とは裏腹に、政府高官、森林局職員による賄賂や不正による伐採の激増を引き起こしたとされています。

その後、カンボジア政府は1996年に丸太と製材品の輸出を禁止をしたものの、その後、違法伐採された木材が合法的に輸出可能になるような政策を発表してしまい、さらに違法伐採が進行しました。

そして2002年には森林伐採権を停止し、ついに2003年に森林保護に関する基本的な法律である森林法を制定するに至りました。この法律により、カンボジア全土で木林伐採の禁止、木材の搬出禁止措置などが定められました。

※森林法制定後も政府の目をかいくぐりながら違法伐採が進んでいる可能性があると言われています。

グラフをみると森林法が制定された2003年以降も森林面積の減少が見て取れます。これは依然として違法伐採が進んでいる可能性を示唆するものでもありますが、実は森林法が伐採を禁止するのは主に背の高い木のみで、個人の敷地にあるような小・中程度の大きさの木に関しては伐採を制限していないことも大きな理由です。

新たな政策を発表しても、なかなかカンボジア政府の思うように森林減少を食い止めることができず、逆に違法伐採を増加させてしまう・・・当時の政府の苦悩が垣間見えます。

ちなみに、なぜ2009年以降急激に森林面積が減少しているのかにまでは理解が及びませんでした。これについては今後の課題として持ち帰りたいと思います・・・🙇‍♂️

まとめ

カンボジアの森林減少について記事を書きました。そもそもの私の理解不足でうまく伝わらない部分もあったかと思います。質問やご意見があれば遠慮なくコメントしていただければ幸いです。

実はカンボジアで唯一森林面積が増加している地域があります。それはシェムリアップ、特にアンコール遺跡群周辺です。アンコール遺跡群は世界的な観光地で、政府の目が厳しいため違法伐採が行われず、逆に景観保護のために植林が進んでいるためだとされています。

やはり政府の目が行き届けば違法伐採は無くせるんだろうなと感じます。問題はどうやって政府の目をカンボジア全土に広げるか、という部分ですが、、、😅

カンボジアで植林事業を行ういち団体・個人として、カンボジアの森林面積の増加(再生)にも貢献していきたいと思います🌱

参考

藁谷 哲也『カンボジア研究 その自然・文化・社会・政治・経済』
http://www.bunshin-do.co.jp/catalogue/book5044_NS01.html

繁山慎太郎 他(2011)「カンボジアにおける森林減少の要因解析」
http://ffpsc.agr.kyushu-u.ac.jp/kfs/kfr/64/bin110805212426009.pdf

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